逃亡提督
メイン第19作

第9話

いよいよ、このお話も終盤に差し掛かります。
今回は、弓削兄妹の会話篇になります。
作戦の段取りは進展していくのか…?
年が明けて約2週間が経った頃、年末年始の作業で忙しかった[弓削引っ越しセンター]。
ここの社長でもある弓削明良は、たった仕事の整理を終えた所である。

弓削「はぁ…やっと終わった…。」

終わるなり、彼はほっと一息。
仕事が一段落終わった為、彼は社内放送で社員達にこう伝えた。

ピンポンパンポーン!

弓削「えー、今いる社員の皆さん、今日の業務は終了となります。
お疲れ様でした、この後は自由にして下さい。」

業務終了を命じさせ、この後を自由にさせた。
つまり事実上、社内の全員に退勤を命じさせたのだ。

この日、弓削の会社は引っ越しの依頼に関しては受けない事にしていた。
社員達も多忙の為か疲労は溜まってる。
それを少しでも回復させる為、ケアの為に依頼を受けない方向にしたのだ。

普通の引っ越し会社ならあり得ないのだが、ブラックな労働環境を嫌う弓削は、敢えてこの体制にする事を決めたのだ。
社員達の為を思って…。

弓削「さてと…この後どうするか…。」

弓削は社長室の机で両肘をつきながら考えていると、机の上に置いてたスマホが突然鳴り出し、驚いた弓削はそれに出た。

弓削「もしもし。」

??「あっ、お兄ちゃん。 私、薫だよ。」

弓削「薫か!」

電話の相手は薫だった。
久々の妹からの電話で弓削にも笑みが浮かんだ。

弓削「どうした急に、何があったんだ?」

薫「あのね、大事な話が有って連絡したんだけど、大丈夫?」

弓削「あぁ、構わんが。」

どうやら薫が弓削に連絡をしたのは大事な話があるとの事。

薫「うん、実はね。 軍が大きく動き出したの。」

弓削「何? 軍が大きく動き出す?」

薫「そう、どうやらあの艦娘達に対しての大きな会議が開かれるらしくて、急遽その予定が組み込まれる事になったの。」

弓削「それは本当か!?」

薫「本当、日程も決まってるよ。」

薫からまさかの情報。
軍が例の艦娘達に対する大きな会議を開く予定との事、しかも日程まで決まってる。
それを聞いた弓削はある事を思いついた。

弓削「思いついたんだが、その日を決行日にするのはどうだ?」

薫「そう言うと思ったよ。」

弓削はその日を決行日にする事を決意。
薫は予想してた模様、話は順調に進んだ。

弓削達のやる事は例の証拠でもある手紙を持参し薫達の協力を経て、軍の内部に潜入しその会議の場に乗り込み軍との交渉をするという事。
単純な事ではあるが、これには別の協力者が必要。
その協力者は勿論、黒崎達だ。

弓削「何れにしろ、この事は黒崎に伝えないとどうにもならん。」

薫「そうだね、私だと作戦が漏れちゃう可能性もあるから、お兄ちゃんにお願いするね。」

弓削「だが、心配な事がある。」

薫「?」

弓削は心配してる事があった。

弓削「あの艦娘達がこの会議を知ってるかだ。」

それは、例のターゲットでもある横須賀鎮守府の艦娘達が知ってるかという事だ。
もし仮にこの会議が行われる事を知ってしまえば、あいつらは動かなくなるだろう。
そうなれば、ただでさえも上手く行くか分からないこの作戦に支障を来てしまう。

薫「大丈夫だよ、あの連中には知れ渡ってないから、本部も連中を完全に見捨ててるからね。」

それを聞いて弓削は安心した。
会議の事を知らないとなれば、後は計画通りに作戦を実行するだけ。
それだけであった。

弓削「そうか、分かった。」

薫「じゃあ…。」

弓削「待ってくれ薫。」

会話を終えようとした弓削が薫を引き止めた。

薫「ん、何?」

弓削「実はな、あの例の元補給艦の二人から作戦を持ちかけられたんだ。」

弓削は薫に元補給艦の二人が考えた作戦を話した。

薫「確かに…やってみて損は無いかもね。」

弓削「まあな、当初俺は反対しようと思ったが、思いがけない内容だったから了承は得た。」

薫「何れにしても、あいつらの壊滅が上手く行くかもね、んじゃお兄ちゃん、また宜しくね、じゃ。」

弓削「あぁ。」

薫が電話を切ったのを確認し、弓削は直ぐに行動を起こした。